2024-09-18

夜明けが来るまで

わたしは夜が好き。

夜の帳が世界を狭くしてくれるこの時間が好き。

昼もさ、明るいし悪くないんだけど、どこへでも行けちゃうくらい世界が広いくせに、わたし自分がどこへ行けばいいかからない人間から、嫌になっちゃうんだよね。

でも夜の間はさ、どこかに行けない自分を許してもらえる気がするんだ。

夜になったら、布団に横になって、携帯をいじりながら微睡んで、雲が流れるみたいにゆったり過ぎてく夜の気配に耳をすまして、時々少しだけ眠ったりしながら、でも寝たらすぐ朝が来ちゃう気がするから新しいポストもないのにTL更新して、もう散々読んだ漫画を読み返したりする。

世界が眠ってこっちに見向きもしないでいてくれるのを享受しながら、時々朝が来てしまった時のことを想像して怖くなったりしながら、それでも眠らずに過ごす。そうする事で少しでも朝が来るのを遅らせられるように。

それでもやっぱり朝は来て、カーテンの隙間から覗く空がうっすら白ばんでいくのを見ながら、スマホで調べてこの空のことを薄明の頃って言うんだなあ、なんて無駄知識を蓄えて、そのうち窓の外から郵便配達バイクの音が聞こえてくるから夜がいなくなったことを受け入れて起き上がる。

カーテンを開け放って窓を開けると、まだちょっと夜が残ってるから世界は少しだけ狭くって、近所のパン屋から出てきた人が今日おすすめを書いた看板を外に出すのが見えたり、少し先にある幹線道路を大型トラック流れるように走っていくのがよく見えるんだ。

夜にしっかり寝ないといつまでも遠くになんて到底行けないんだろうけど、いいんだ、どうせわたしに行けるのは近所のパン屋ぐらいなんだから

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