2024-08-18

好きな芸能人を答えたら「骨と皮じゃん」と言われた

10年くらい前の話である

友人に「好きな芸能人は?」と聞かれたので、私は「桂歌丸」と答えた。

そうしたら友人は驚いた顔で「骨と皮じゃん」と言ったのだ。

解せぬ。私は内心そう思ったが、曖昧に笑って別の話題をふった。

なぜ好きなのかをうまく言語化できず、言い返すことができなかったからだ。

子供の頃、毎週日曜は家族で晩ごはんを食べながら笑点を見ていた。

よく喧嘩をしていた両親も、笑点を見ている間は笑っていた。

私は漫画でも小説でもゲームでも映画でも落語でも、人間の作るものが好きだ。

それらの根っこにある生と死に対するまなざしが好きだ。

そのまなざしを通して見ると、生きることも死ぬことも悪くはないように思えてくる。

私はもうすぐ40歳になる。

数日前、ガラス窓に映る自分の姿を見てギョッとした。

顔のシミやら首のシワやらよりも余程目に付く、曲がった背骨

慌てて姿勢を良く保とうとしても、筋肉が衰えていて数分経てば元通りである

自分の曲がりくさった骨とだらけきった肉を目の当たりにして、思い出したのは歌丸さんの佇まいだった。

「骨と皮じゃん」と言った友人に、今ならこう言い返したい。

あの年齢であれだけシャンとしているなんて、素晴らしい骨じゃないか

骨と皮だけに見えても、あの姿勢を保てるということは静かに燃える肉がある。

私はその肉が、そこから見えてくる意地が格好良くて好きだったのだと。

私がいつ死ぬかは知らんが、死んだら天国笑点を見たいと思う。

笑点テーマを聴いて、それから歌丸さんと楽太郎さんの掛け合いを見たい。

背骨が曲がっていたら見るのに難儀しそうだから姿勢はこれからなんとかする。

姿勢を良くするおすすめ方法、もしくは笑点の好きなエピソードがあれば教えてほしい。

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