実家は田舎の山奥にあるので、寺とか共同墓地とかそういったものではなく、山に墓が設置されているタイプであった。
しかしその山に設置されている墓地の量がどうも尋常ではないようである、ということに、だいぶ大きくなってから気づいた。
墓参りの当日は、墓参りなのにちょっとした山登り並みの準備をしていた。といっても標高は50メートルくらいしかない。
まず墓の場所が3箇所に分かれていた。最初の場所には最新の墓が置かれていた。自分から見ると父方の祖母と祖父、父方の曽祖父とその妻である。
そこの墓参りを済ませると次の場所に移動した。次の場所は墓石が5個くらい置かれていた。墓石には江戸時代の年号が書かれていた自分との関係は誰もわからない。
その墓参りが終わったら三箇所めに移動した。最後の場所は墓石が20個くらい置かれていた。こちらも墓石には江戸時代のような年号が描かれていて、自分との関係は誰もわからない。墓石かどうか怪しいものもずいぶんあった。
そのような墓参りを、物心がついてからずっと続けていた。実家を離れて生活するようになって、どうもこれはおかしいのでは、と思い始めた。
別に実家は裕福なわけでもなく単に田舎なので田んぼとか山とか所有しているようである(というよりも経済的には中の下であった)。
どうも墓石を処分するにも随分と手間と費用がかかるようである。