2023-06-04

anond:20230604171733

闇に消えていこうとする

二人の姿に向かって

必死に叫ぶ

サマルトリア組の王子




もう少しで覚えるから!!














あの呪文を!!












衝撃が走る。

凍り付いたように立ち止まる

ローレシア組の鉄砲玉と

ムーンブルク組の一人娘。

「お前……まさか……」

愕然として振り返る

ローレシア組の鉄砲玉と

ムーンブルク組の一人娘。

「知って……」

洞窟入り口

取り残された

サマルトリア組の鉄砲玉の

目に

ふいに

涙が溢れた。

言葉を失う

ローレシア組の鉄砲玉と

ムーンブルク組の一人娘。


僕、

今、

レベル26だから

きじゃくりながら

大声で告げる

サマルトリア組の鉄砲玉。


王女

ザオリク覚えたし



病気になって

寝ていた間に

なんだか知らないけれど

世界樹の葉

十一枚もあるし


それを聞いた

ムーンブルク組の一人娘の手が

震えた。

あなた……」

手で口元を抑える

ムーンブルク組の一人娘。

僕もう

いつでも死ねから

「くっ……」

歯を噛んで目を閉じる

ローレシア組の鉄砲玉。

その耳に響く

サマルトリア組の鉄砲玉の

痛切な声。




あと

二つか三つ

レベル上がれば

覚えるから


メガンテ

覚えるから







から置いていかないで

サマルトリア組の王子が叫んだ。

きじゃくるように叫んだ。

自分のうかつさ

間抜けさを

呪うローレシア組の鉄砲玉が

再び開いた目に

両手に掲げた

キメラの翼を引き裂く

サマルトリア組の鉄砲玉の

姿が鮮烈に映った。

キメラの翼が

呆気なく千切れとんだ。

まるで悲鳴だった。

事実

それが

サマルトリア組の鉄砲玉の

心の叫びだった。

もう

帰るところなど

無いのだ。

もうすぐだから

もうすぐ覚えるから

ひたすら

その言葉

繰り返す

サマルトリア組の鉄砲玉。

ムーンブルク組の一人娘の目に

もう二度と流れないと

思っていた涙が溢れた。

ローレシア組の鉄砲玉が

歯を噛みしめながら

どうして気づいて

やれなかったのだと

無念の涙を流していた。

から

から

置いて行かないでよう

泣きながら

洞窟に入ってくる

サマルトリア組の鉄砲玉。

ああ

こいつは

知っているのだ

ローレシア組の鉄砲玉が

泣いた。

自分

鉄砲であることも

自爆要員であることも

スーファミでは

はかぶさの剣」は

出来ないことも

メガンテザオリク

連発になることも

メガンテを使えば

経験値

入って来ないことも

あまつさえ

メガンテ

ラスボスには

効かないことさえも

知っているのだ

知っていてこいつは

城の親分王様)の言う通り

城のみんなの願い通り

メガンテ

唱えるのだ




そう






まさしく















鉄砲玉として







置いていかないで……

サマルトリア組の鉄砲玉の泣き顔が

ローレシア組の鉄砲玉の

すぐ目の前にあった。

「行こう」

ローレシア組の鉄砲玉が言った。

「一緒に行こう」

サマルトリア組の鉄砲玉が

また

大きな声で泣いた。

ムーンブルク組の一人娘が

そっと二人から

目をそらし

入り口に打ち捨てられた

キメラの翼を見やった。

世界

滅びはしないだろう。

引き裂かれた翼を

目にしながら

そう思った。

あの洞窟の外の

日だまりに生きる

人々は

これからもずっと

あそこで

生きていくのだ。

ここから

洞窟の暗闇へと

向かうのに

それ以上の

理由があるだろうか。

「行くぞ」

ローレシア組の鉄砲玉が言った。

うん

と嬉しそうに

サマルトリア組の鉄砲玉が返す。

ムーンブルク組の一人娘も

小さくうなずき、

そして、

日だまりに捨てられた

キメラの翼から

そっと

目を離した。






















ドラゴンクエスト

任侠鉄砲伝説
















剣が峰日記

2001/0721土 

ドラゴンクエストⅡ 任侠鉄砲伝説

記事への反応 -
  • 2001/0721土 先日 柳川氏が ドラクエⅡを プレーしていると書いたが 今日は 「ほのおの祠」の在処が分からず 悪戦苦闘しているようである。 本当に器用だなと思うのが、 ちょ...

    • 闇に消えていこうとする 二人の姿に向かって 必死に叫ぶ サマルトリア組の王子。 もう少しで覚えるから!! あの呪文を!! ...

    • 続きを探して読んでしまった。 古き良きインターネットって感じだった

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん