私は旅帰り疲労しこどもを連れていた。
日中は日頃から下のこども抱っこして歩き回り膝はガクガクしている。そして生理二日目で貧血ぎみでもある。
ようやく座り隣に低学年のこどもも座れた。
ふと目の前を見るとヨボヨボの老人がたっている。変わるべきか?逡巡する。
目の前の老人はスーツケースをもっている。旅帰りだろう。旅行に出かけることが出きるなら見た目よりは元気であろう。向こうに奥さんらしい人がいる。こちらをチラチラみている。替われという圧だろうか。しかし何より座らなければいけないのであれば電車をおくらせるだろう。
優先席ではここはない。ただ隅のコーナーでふだん優先席がある区画でもある。見込みが外れたのだろうか。
この老人がすぐ降りるのであれば替わってもいいが私が降りる40分ほど最後までいられるのなら体力的に厳しい。
私はふだんから席を必ず替わるようにしていた。しかし今日座れないと安全に帰れないような気もする。
強い意思で老人の細い足を見つめていた。
そのつぎの駅で向かいの奥さんの前の席のアフリカ系の男性が奥さんに席を替わるように申し出たのだろう。
「おとうさんかわってくれるって」
老人は席に座れた。私は安心した。
そしてそれから二つ目の駅で老人は降りしきりと老人は礼をいい和やかに男性と別れた。