昔は良かった、などという部類の話に、どうしてもなってしまう。
つまり、街を歩いていても喧嘩を売ってもらえない時代になってしまったということだ。
生きていればどうしても嫌なことの1つや2つあるもので、そういう時、スッキリする手段として喧嘩というものがあった。
喧嘩を売ってくる人と、殴り合いたいのだ。
昔はそのような、いわば「マッチング」が容易だったのだ。
ムシャクシャしてるから人を殴りたいという俺と、
恋人を探す男と女同士が偶然出会うかのように、俺たちは出会い、拳を交わすことができた。
だから、誰かに迷惑がかかるという話ではなかったのだ。どうしてもイライラしてる男同士が、互いのフラストレーションをぶつけ合えた。
当時を知る人ならわかってくれるだろ?「あ、こいつムシャクシャしてるな」という同志は、街で見たらわかるものだったし、
ちょっとした空気感で、「この男とやり合おう」というシンパシーが生まれていた。
だから自分と背丈が違う人間だとか、明らかに自分より弱すぎる人間とはマッチングを避けた。
素敵なシンクロを重ねた相手とは、肩をわざとぶつけるだとか、些細な口実を作ったり、作られたりして、存分に殴り合えた。
ハンカチを落としましたよ、なんて女性を誘うのにも似た、なんだかいじらしかった、なんて今回顧できるくらいだ。
そういう出会いが、もっぱらなくなってしまって悲しいという話だ。
今の世の中は、出会いが少ない。
誰に迷惑だったのだろうか。
みんな強くなりすぎてしまったんだ。 俺が人を殴ると殺してしまう。
昔はもっと暴力が身近だったなーとはおもうけど、戻りたいとはおもわんなー
俺はリアルモンクだから