公立高校の校舎の前には下駄箱があって、外履きをスリッパに履き替えて教室に入ることになっていた。
スリッパは学校指定の青くて冷たい感じのするもので、どこかのトイレで使われているようなものだった。
でも、それは指定されたものだからみんなそれを履いた。それが制服の一部なのだ。
あのスリッパは古くからある形で、戦争中からあるものじゃないか。
個性のないスリッパを集団に押し付けるなんて、没個性だ。思想教育だ、軍国主義だ。
こんなことでは個性のある生徒は育たないに違いない。」
校則に反して、違うスリッパで生活する生徒が現れる。個性を発揮しているらしい。
校則違反を指摘すると、学校に来ないと言う。教育を受ける権利を奪われたと言う。
学校指定のスリッパを履いている人をそそのかす。「そんなことでいいの?」
スリッパで個性を発揮しなくても、個性や完成を発揮するところはありすぎるほどある。
だが、違うスリッパを履いている生徒は自分たちが正常で、自由を謳歌している仲間だと主張している。