溢れんばかりの才能が欲しい
透徹した目が欲しい
他の誰もが気付かず、しかし私によって露になった事実を驚きを以って誉めそやすような瞳を
「良く気付いたな」と
海のように広く深い知識と見識を持ちたい
誰にも負けないその視野で、全てを知り続けたい
知らないことなどないようにしたい
私の上位互換は、逃げて、逃げて、逃げ続けた先の居場所にさえ存在する
「自らが生きていける場所に移動すること」
それも適応と呼ぶのであれば、私は最後の最後までこの世界に適応することができなかった
不足や不備ばかりに目が向いて、逃げ果てた先で遂にどうにもならなくなってしまった
もはや正確な記載を再現することはできないが、それでも折に触れて思い出す
そう、精神がどこまで追い詰められても肉体は「私」を生かし続ける
どれだけの不幸や災難が生じても、この肉体は何も変わらずに生命の音を世界に刻み続ける
そこに私の意思は介在しない
もう、うんざりだ
終わらない、終わらない、終わらないんだ
いつまでもしつこく人生は続いていく、もう十分ではないだろうか
この感情も、肉体が時間で除して平凡と記憶の彼方へ流していってしまう
それに抗う術を私は知らない