「そもそも前提が間違ってました」、と言わないために存在する仕事がある。
それを正面から受け止めて、淡々と暴き、死体処理のように更地にした人がいた。
目の当たりにしたのは新人のころだった。
その人が更地にする前、私も夢と希望を抱き、仕事の一端に関わった。
が、中身はとっくに終わってた。
みんなが一生懸命、繕っていた。
死体処理までの一連から知った事実に、「仕事ってこういうことなのかなあ」と思い、幻滅した。
表のツラだけ見ると理想的にも捉えられるので、真面目に中身を考えたが、よく見ると、やはりくさっていた。
さらには、上層部に飛び火する案件で組織として更地にすることは許されず、やるすべもなかった。
同期に相談すると、それにやきもきする感覚なんぞとっくに卒業したように「淡々とやるだけだよ」とアドバイスされた。
続けるしかなかった爆発案件は、また、次の人の手に渡っていった。
私はこの件で深くショックを受けた。裏切られた、自らの手を汚した感覚がした。
それからも仕事をする中で、自らの正当性を崩さないために事実を隠したり、嘘を伝えて来たり、あるいは解釈を都合の良いように曲げて仕事している人が結構いることに気付いた。
たぶん、「よし、正当性を守るためにウソつくぞ!」と思ってやるのではなく、全く無意識だと思う。
むしろ、それが正義だと思っているかもしれない。弁護士みたいに。
新人のころ、いつか慣れる、いつか何でもなくなる日が来るのだろうかと思った。
同期にアドバイスを求めた時も、こういう考え方が正しいのだろうかと思った。
この仕事向いてないんだな。
気付くの遅かった。