2021-08-28

おばあちゃんの話

自分にはピッタリ60年、年齢が離れた祖母がいる。同じ干支なので、幼い頃はよく笑いのタネにしたものだ。

妹が入院し、親も含めた大半が看病に勤しんだときでも、祖母自分のことも忘れずに見てくれた。

私が精神を病んだときも、祖母は「夜は暗いから、悲しいことを考えやすいの。だから早く寝て、明日考えなさい」「今、死にたいなら、あと5年は待ちなさい」など言ってくれた。

病気が多少良くなり、大学生になってからは疎遠になってしまったが、月一で電話したりと仲は良かった。

そんな祖母が、認知症になった。

今は母が介護をしに行っているが、曰く、もう孫のことは誰一人覚えていない、とのことだった。

から電話しても無駄だと。

会いに行けてない間にも、私の時は動き続けた。

就職し、家を引越し彼氏を作り別れ、新しい趣味を始め、今は結婚前提のお付き合いをしている。特に最後の話は、とても一番伝えたいことだ。できれば会わせたいぐらいに。

会いたい、すごく祖母に会いたい。

けれど情勢は、私と祖母を引き裂いたまま、2年が経とうとしている。

自分誕生日から数日たったある時、書類を整理していると、ひとつ便箋が出てきた。

差出人は、祖母だ。

「お誕生日おめでとう! あなたの生れた日に想いを馳せつつ…」

ありがとう、おばあちゃん

おばあちゃんのおかげで、あれから5年以上生きてるよ。大切な人もできたんだよ。お仕事も頑張れてるよ。おばあちゃんは私のこと忘れていたとしても、もう一度、会ってお話したいよ。

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