自分にはピッタリ60年、年齢が離れた祖母がいる。同じ干支なので、幼い頃はよく笑いのタネにしたものだ。
妹が入院し、親も含めた大半が看病に勤しんだときでも、祖母は自分のことも忘れずに見てくれた。
私が精神を病んだときも、祖母は「夜は暗いから、悲しいことを考えやすいの。だから早く寝て、明日考えなさい」「今、死にたいなら、あと5年は待ちなさい」など言ってくれた。
病気が多少良くなり、大学生になってからは疎遠になってしまったが、月一で電話したりと仲は良かった。
今は母が介護をしに行っているが、曰く、もう孫のことは誰一人覚えていない、とのことだった。
会いに行けてない間にも、私の時は動き続けた。
就職し、家を引越し、彼氏を作り別れ、新しい趣味を始め、今は結婚前提のお付き合いをしている。特に最後の話は、とても一番伝えたいことだ。できれば会わせたいぐらいに。
会いたい、すごく祖母に会いたい。
けれど情勢は、私と祖母を引き裂いたまま、2年が経とうとしている。
自分の誕生日から数日たったある時、書類を整理していると、ひとつの便箋が出てきた。
差出人は、祖母だ。
「お誕生日おめでとう! あなたの生れた日に想いを馳せつつ…」
おばあちゃんのおかげで、あれから5年以上生きてるよ。大切な人もできたんだよ。お仕事も頑張れてるよ。おばあちゃんは私のこと忘れていたとしても、もう一度、会ってお話したいよ。