コロナに感染した妊婦が自宅で早産し、残念ながら赤ん坊はすぐにこの世を去ってしまった。
まことに残念であるし、人の親として想像もしたくない絶望の現場であろう。
皆、一生懸命に解決を探ったのだろうし、結果としてうまくいかなかったのだ。
私はその子のことを一生覚えていたいとおもう。
翻って、既に病床がパンクし、中等症でも自宅に留め置かれるこの状況で何が出来たのか。
誰も、そこに手を伸ばす余力はなかった。
新生児の病棟に感染者を入院させたら、大勢の新生児や妊婦が観戦してしまった可能性もある。
生死の危うい重傷者を追い出して、そこに母子を入れるわけにもいかなかっただろう。
社会はトロッコ問題に直面し、赤子か、すでに死にかけている大勢の感染者かで大勢の感染者を選んだ。
言い換えると、トロッコが赤ん坊に向かって走っていくのを誰も止めなかった。
そして、引き潰された赤ん坊を悲しい思いをしながら見ているしかできなかったのだ。
これからもこういうことが起こる。
トロッコ問題の肝は人数の少ない方に向きを変えて少数側を犠牲にするかどうかの葛藤であって最初から少数側に向かっているトロッコなら誰も問題にしないのでは