2021-08-20

数列の穴埋め問題に「間違い」は無い(数列自体に条件が無ければ)

以下の問題を解いてみてください。

以下の数列で、□に当てはまる値は何か。

2、5、8、11、□

数学教科書にでも書いてありそうな問題です。

3ずつ値が増えているので、正解は「14」ですね…



いや、それは正解ではありません。

正しくは、「14」だけが正解なのではありません。

なぜなら、数列の種類を特定していないからです。

もし問題文に「以下の数列が等差数列とする場合、」と条件が記載されていれば、

しかに「14」が唯一の正解ですが、そうではないのです。

それならば、真の正解は何でしょう。

正解は「任意の値をとる」です。

まり、100でも200でも300でも、どんな値でも□に当てはまるのです。

「間違い」となる値は無いのです。

本当にそんなことがありうるのでしょうか。

例えば、□が100となる数列a(n)は、以下のように定義できます

a(n)=

2(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)/(1-2)(1-3)(1-4)(1-5)+

5(n-1)(n-3)(n-4)(n-5)/(2-1)(2-3)(2-4)(2-5)+

8(n-1)(n-2)(n-4)(n-5)/(3-1)(3-2)(3-4)(3-5)+

11(n-1)(n-2)(n-3)(n-5)/(4-1)(4-2)(4-3)(4-5)+

100(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)/(5-1)(5-2)(5-3)(5-4)

非常にややこしい式ですが、計算ほとんどの部分が0になるので簡単です。

なお、以後の計算の都合上、係数部分を太字で表しています

めしに、1項目の値a(1)を計算してみましょう。

最初の「2(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)/(1-2)(1-3)(1-4)(1-5)」の部分はどうなるでしょうか。

nは1なので、分母と分子が同じになりますね。

よって、分数は約分されるので1となり、この値は2です。

次に「5(n-1)(n-3)(n-4)(n-5)/(2-1)(2-3)(2-4)(2-5)」の部分はどうなるでしょうか。

nは1なので、分子の(n-1)の部分が0になりますね。

よって、この値は0です。

そして、「8(n-1)(n-2)(n-4)(n-5)/(3-1)(3-2)(3-4)(3-5)」の部分ですが、先程と同じ理由で0ですね。

残りの「11(n-1)(n-2)(n-3)(n-5)/(4-1)(4-2)(4-3)(4-5)」も「100(n-1)(n-2)(n-3)(n-4)/(5-1)(5-2)(5-3)(5-4)」も、やはり0です。

よって、a(1)は2+0+0+0+0=2です。

同じように、2項目の値a(2)を、n=2として計算してみます

最初の「2(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)/(1-2)(1-3)(1-4)(1-5)」の部分はどうなるでしょうか。

(n-2)が0となるので、0ですね。

5(n-1)(n-3)(n-4)(n-5)/(2-1)(2-3)(2-4)(2-5)」はどうなるでしょうか。

こちらは分子と分母が同じになるパターンです。

分数部分が1になるので、値は5です。

8(n-1)(n-2)(n-4)(n-5)/(3-1)(3-2)(3-4)(3-5)」以降の部分はもうおわかりですね。全部0です。

なので、a(2)は0+5+0+0+0=5です。

この数列a(n)のパターンが見えてきたでしょうか。

この数列は5項目まで、太字で示した係数の値を前から順に取っていきます

まり、a(1)=2、a(2)=5、a(3)=8、a(4)=11、a(5)=100となるのです。

よって、たしかに、□が100となる数列は実際に存在する(このa(n)がそうです。)と言えます

まり、□を100としても、そのような数列は存在するので、「間違い」ではないわけです。

そして、a(n)の式中で100の部分を200に変えれば、□が200となる数列も作れるし、300に変えれば、□が300となる数列も作れるわけです。

から上記問題で□がどんな値であったとしても、それを満たす数列は必ず存在します。

よって、□がどんな値でも「間違い」ではないわけです。

したがって、数列自体に条件が無ければ、数列の穴埋め問題に「間違い」は無いと言えるわけです。

(ただし、この最後の一行には論理の飛躍があります一般の数列はどうなるのかという考察必要です。

一般の数列に対して、同様のa(n)を構成して証明を行う必要があります。)

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