引っ越し先で 90 年代の曲を流していたら、見慣れない場所で知った曲が流れているので自分の中の時代感がバグった。当時のような気持ちにはさすがにならないが、当時の悲しみや喜びが曲に乗せて浮かんでくるのを眺めている。
色々しんどかったし楽になって良かったと思っていたが、あの頃の感情の鮮やかさに、あれもまた大事なものだったと思えた。
いうて失われた何十年だかのうちの変化なので、自分以外がそんなに変わった感じはしない。氷河期世代が異様な怨嗟を抱えているのは、子供の頃にバブルの面影を見て、普通に生きていれば当然得られると思っていたものが得られなかったからなのかもしれない。
もう少し後の世代は、 IT ()で世界が変わっていくのを見ていたので、漠然と良くなる未来を抱いていたのだろうか。良くなる世界で良くならなかった自分への嘆きは見かける。
過去の繁栄は終わり未来にも希望が無い、そんな中で成熟した音楽たちを聞いている。なんなら音楽や文学は閉塞感の中でこそ育まれるのかもしれない。