友人が他界した。いや死んではないが、私とは別のジャンルのオタクに移行したのだ。
ライブオタクになって早数年。思えば大体彼は同じ現場にいて、私も同じ現場にいた。
おそらく友人にとっては私の存在は多少深い程度のOneOfThemだったと思うが、私にとっては恐らく唯一の現場友達だった。
コロナで世の中が自粛ムードになる気配が忍び寄る頃にいつものように会って別れて、そのまま関係はフェードアウトするかのように、友人は新しい世界への沼を潜り続け、新たな居場所を見つけた。
喜ばしいことではないか。
長く同じアーティストを見続けている中で、どこかモチベーションの低下を感じながら、新たに嵌まれるモノもなく惰性で生きてる自分と比べたら、自分で新しい世界へ飛び込んでいった彼は本当にすごいと思う。
1番悲しいのは、そんな彼女が新しく熱中するものを見つけて、新しいコミュニティを見つけたことを素直に祝福できなかった、都合のいい自分を直視せざるを得なかったことだ。
多分、彼と最後に交わした「また現場で」の言葉は、そのままこのコロナの狂乱と共に消えていくのではないか。
そんな気がしている。