2020-07-31

おんぼろの家と屋根裏の音、びっくりする音

都内の築50年は経ってる感じのところで暮らしてる。

駅のそば、高架下に近い立地だ。

おんぼろだから、駅近なのに家賃はとても安い。

越してきて初めての冬、夜になるとたまに壁から音がする事に気がついた。

ゴソゴソ、カリカリ、そういう音だ。

外壁と内壁の間から、毎晩同じくらいの時間帯に音がする。

それからまた暫くして、天井の上、屋根裏からさな生き物が走る足音がするようになった。

トタタタタ、カリカリ、たぶん鼠なんだろうなと思った。

とりあえず、押し入れの上段で見つけた天井裏との隙間を塞いだ。

家の外側も見て回って、素人目に見て解る隙間も塞いだ。大変面倒だ。

室内には出てきていないしと放っておいた。

幼い頃、夏休みなんかに遠方の祖父母の家に泊まると

蚊帳をかけて蚊取り線香を焚いて、窓を開けて寝た。隣には祖母がいる。

眠りに落ちる前に、天井から音が聴こえた事があった。

ズズズ、ズズズ、天井裏をゆっくり移動している。

蛙や虫の声に消される程度の、控えめな音だ。

目を凝らしても蚊帳越しの天井ぼんやり見えるだけだし、よくわからない。

「蛇だよ」と教えられた。

幼いながらにあまり信じられなかった。なんでだろう。

そもそもこの記憶自体、夢なのかもしれない。

ある夜。ゴソゴソ、カリカリという音が襖を挟んだ隣の部屋から聴こえてきた。

ついに入ってきたかと襖をそっと開けると、ごみ箱のあたりにちらっと長い尻尾が見えた。

調べたら、クマネズミと解った。それからは、戦いの日々が始まった。

2匹仕留めて、もう1匹を追い回した成果なのか、部屋にはやってこなくなった。


壁や天井裏の音にもすっかり慣れてきた、丁度今くらいの頃の夜。

からゴソゴソ、その後に天井でトタタタタ、外壁のどこからか入って天井裏をいつものように走っている。

いつもより走っている気がする。

トタタタタタタタッ

チッ チチ キィ

ギューッ

ズズズ、ズズズ、

かになった。

鳴き声、絞めたような音と、あの音が聴こえた。

びっくりした。いくらおんぼろでも、流石にこの立地で天井裏に蛇はいないだろうと思う。

でも古い家なので、いるんだろうか。

ずっと天井裏で生きてるんだろうか。

見えないので解らない。

それからはすっかり静かになったので、蛇だという事にして暮らした。


今。このところ天井裏にいるのは、きっとハクビシンだ。

数日に一度やってくる。足音が大きい。一度鳴いたので、鳴き声で調べた。

気付き次第、居るであろう場所、その部分の天井を棒で怒突いて追い出している。

蛇はどこかに行ってしまったのか、食べられてしまったのか、そもそも蛇だったのか解らない。

たまに、隣の家の猫が追いかけて入ってきて天井裏で大喧嘩している。お陰ですっかり鼠はいなくなった。

でも大変煩いしびっくりするので、なんとかしなくてはならない。

  • アイツら、ガキどうしで定期的に駆け出す『運動会』しよんねんなー

  • うちの田舎の実家と同じだ(笑) 都内でもそういう環境があるんだな

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