夕焼けが目に染みる。
休みの日には大きなカメラがうろうろしているのもよく見かける。
だけど、ここ以上のスポットを私は知らないし、知りたくもない。
大きな谷間に沈んでいく夕日が、文明を影に落とし込んでいく。
無くしたはずのペンダントがひょっこり見つかるような、
そんな程度の不思議を世界が許容してくれそうな、優しい時間帯。
等しく与えられるゆっくりとした推移が、私の鼓動を洗う。
こうしている間だけは、鉄火場のような日々を忘れたい。
人は間違える。であれば、誤差域を広げていくことでしか心は生まれない。
弱者の理論が、整然と並んだ街を塗り替えていく様に、ふと笑みがこぼれる。
精緻な対策に意味はなく、常にありえざる着地点を見据えて歩み続けるものに裁きと褒美を与えるものだ。
じきに夢は固着し、万に一つもあり得ない少女がここを訪れるだろう。
君はその時、今日を引き裂けるか?