「うちのオカンがね、昔お呼ばれしたパーティの名前を忘れたらしいねん」
「ほんだら俺がね、おかんのお呼ばれしたパーティの名前、一緒に考えてあげるから。どんな特徴言うてたかとか教えてみてよ」
「なんでもな、毎年春にやってる公的行事で、主催が総理大臣らしいねん」
「桜を見る会やないか? それはもう完全に桜を見る会やがな。すぐ分かったよこんなもん」
「俺も桜を見る会やと思てんけどな、オカンが言うには、夕食会の明細書もらったっていうねんな」
「ほな桜を見る会と違うかぁ。桜を見る会に夕食会の明細書なんて出るわけないもんね。桜を見る会の夕食会の明細書はね、まだ1枚も出てきてないのよ。あれは。首相側もね、明細書1枚でも出せば済む話やのにまだ出せてないから。桜を見る会ってそういうもんやから。ほな桜を見る会ちゃうがなそれ。もうちょっと詳しく教えてくれる?」
「桜を見る会やないかい! 招待客数と支出額めちゃくちゃ多いんやから! でも俺はね、あれは自分の支援者だけ招待してるからやと睨んでんのよ。俺の目は騙されへんよ。俺の目騙したら大したもんや。で、あれよう見たらね、反社会的勢力を含んだうえでの招待客数になっとんねん! 俺はなんでもお見通しやねんから! 桜を見る会や、そんなもんは!」
「分かれへんねん、でも」
「何が分かれへんねん」
「俺も桜を見る会やと思てんけどな、オカンが言うには、招待客名簿があったっていうとってん」
「ほな、桜を見る会ちゃうやないかい! いま招待客名簿出てきたら政権ひっくり返るもんね! 桜を見る会はね、まだ国民が寝ぼけてるときやから嘘ついてられんねん! 嘘つかれてるうちに国民もだんだん目が覚めてくるけど、まだちょっとだけ嘘ついてまうねん。そういうカラクリやから! 桜を見る会ちゃうがな。もうちょっとなんか言ってなかった?」
「桜を見る会や! あれは法律スレスレどころか法律違反やから! 首相側がもう一段増やそうもんなら、俺は動くよ、もう! 桜を見る会やん絶対!」
「分からへんねん、でも」
「なんで分からへんの、これで」
「桜を見る会やないか! 桜を見る会は参加している本人でも自分にどんな功労・功績があったか思い浮かばへんねん! 浮かんでくるのは首相と首相夫人の顔だけ! 両手を広げた首相の顔だけ! 桜を見る会に決まり!」
「分からへん」
「分からへんことない! オカンのお呼ばれしたパーティは桜を見る会!」
「ほな桜を見る会ちゃうやないか! おかんが桜を見る会ではないと言えば桜を見る会ちゃうがな!」
「そうやねん」
「申し訳ないなと思って」
「ほんまに分かれへんがな、それどうなってんねん」