2019-12-19

とある先生

口は悪い、字は汚い。自分たち結構罵られた。同じ授業名の別クラスが有り、そこと妙に比較される。噂によると楽なクラスと厳しいクラスとがあるらしく、前期は選考から漏れて、厳しいクラスになって、先述の口の悪さになんなんだこいつと思っていた。

後期になるとクラス統合された。20人もいない。どうやら厳しい方のクラスの受講者がほとんどが脱落したようだった。自分先生の人柄はともかく、授業内容には興味があったから受けた。

受けていくにつれてやる気がある生徒には優しい事がわかった。相変わらず口は悪いし字は汚いが。「小学生からやり直すか?」と言っても、丁寧に教えてくれた。

異変が起きたのは後期も終わる頃。いつもの先生とは様子が違った。あれだけの毒舌は鳴りを潜め教授然とした態度が見られない。そこには滅多にしないミスをして、自分がしたミスにたいしてごめんなごめんな、わからんわからんと言う弱気な老人の姿があった。異変が起こる前の先週の授業でも、曜日と日にちをずっと間違え続け補講の日付が全く決まらないという出来事もあった。

すまんが、今日はこれで終わりにすると30分も立たずに授業を終えた。一部は笑っていたが、僕はかなり心配だった。

翌週、担当先生が変わった。療養することとなったらしい。でもきっとあの先生なら生き長らえるとそう思ってた

無事に進級して、同じ学部の授業のなかで、その先生が亡くなったことを伝えられた。なんとも言えない気持ちで90分間すごした。

今でも当時の資料を見返す。そこには彼の筆跡でどのようなことかを解説してくれた文章がある。資料書き込みをチェックした彼のサインがある。授業を1年受けただけで大した思い入れもないはずなのに涙が出る。

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