とある物事が進む過程において、嘘付きが潜んでいないか、誤魔化しがないか、何かが捻れてしまっていないかを探す役目を負っている。
一応それ以外にも細々とした仕事を任されてはいるが、本来の役割は、嘘を暴くこと、嘘を暴こうとするものが目を光らせていることを知らせることにある。
では、私は本当に嘘を暴いているのか。
嘘を暴いてなどいない。
埋めてばかりいる。
誤魔化しのやり方が杜撰であることを指摘することはあっても、その誤魔化しを告発することはない。
時としては、素直に進めれば面倒な手続きを踏むか大きな嘘を付くことになることを伝え、小さな嘘で誤魔化すことを進め、どう嘘をつけばいいか手本を見せることさえある。
むしろ、それが上手にできるかどうかこそが腕の見せ所だと上司から教え込まれた程だ。
ここには嘘ばかりが満ちる。
私がこの場所にいるのは、私のずっと上にいる人達が、システムのエラーを修正する手間を惜しみ、自分たちで煩雑にした手続きを自分たちの決めたとおりに進めることさえできなくなったことの尻拭いのためだ。
歴史の闇に葬れない形になりかけた嘘を、歴史の闇に葬れる形へと組み替える、嘘が世に出ぬための小間使いだ。
私がしている仕事は、嘘を見張っているのではなく、嘘を見守っているのだ。
そして、嘘を誰かに見晴らせていたという言い訳を作るためにあるのだ。
そしてある日、どこからかやってきた誰かに埋め続けてきた嘘が暴かれた時「私はずっと見て見ぬ振りをしていました。私が悪いのです」と首を差し出し