そういって彼はやれやれといった仕草でバーボンを一気に飲み干してさらに続けた。
「おちんちんランドさえ存在すれば、そう願わずにはいられないよな。」
だが彼は僕の言葉には意外なほど反応しなかった。
それどころか、僕の事を冷めた真夏のピザであるかのような目で見ながら吐き捨てた。
「それは違う。大切なものは、目に見えないもなんだ。」
物憂げにそう返す彼に対して、期待した答えが返ってこなかった僕は食い下がった。
「それじゃあ君はおちんちんランドのことなんてどうでも良いって言うのかい?」
そうじゃない、と彼は告げた。
「むしろ逆だ。」
そう聞いたとき僕の心臓が止まりそうになり、急にあたりが静まり返ったような感覚を覚えた。
それ以上、言わないでくれ。僕はそう願った。
「「おちんちんは、僕たちの心の中にあるんだ」」
僕も苦笑して、それから左手に持ったままであった旧世紀の遺物に火をつけゆっくりと吸った。
メビウスの煙がいつもより目に染みた。