昔、「大きな栗の木の下で」をこう覚えていた。
それは、実家が栗のなる山を持っていて、その栗山の近くに木下さんというおじいさんがいたからだ。
木下さんは、どういう縁かはわからないが祖父と仲がよく、木下さんと祖父が山を管理していて、木下さんが山で収穫した山菜やキノコや栗を持ってきてくれて、それを祖母や母が調理して一緒にご飯を食べていた。
自分が中学生ぐらいまでは兄と父と一緒に山で山菜取りや栗取りやたけのこ掘りをよくするのだが、必ず木下さんについてきてもらった。父にとって、二人目の父のような存在で兄と自分にとっても第三の祖父のようなもので山の事をいっぱい教えてもらった。
兄が幼稚園に行っている頃、お遊戯会の発表で「大きな栗の木の下で」をした。
それを父がビデオに撮っていたようで、それをみた木下さんは酔っ払いながら「大きな栗の木下です」と笑っていた。(ちょうど栗の収穫季節だった。)
木下さんは常に快活で、大酒飲みで祖父と喧嘩する時は必ず「それは俺の酒!」と酒の取り合いだった。
ちょうど大学のため田舎をでて都市部で暮らしている時だった自分はその知らせを聞いて車で10時間かけて実家に帰った。
木下さんの葬式は自分の家族たちが家族内と少しの親戚だけがあつまり粛々と行われた。
自分が墓参りをする時、一つだけだれの墓かはわからない墓に線香を挙げていたが、それが木下家の墓だとしったのはこの時である。
そして、これらはすべて「大きな栗の木の下で」を歌って帰っていった子供達から得たインスピレーションから生み出された創作話です。
名前が掘ってあるのにどこのお墓かわからないなんてことあるか? うーん、嘘松(笑)
彫