暗号通貨のコンセンサスアルゴリズムには大きく分けてPoWとPoSという二種類がある。保有するコイン数に応じて報酬を得られる確率が決まるPoSは、大量の電力を消費するPoWに比べてエコで優れていると思われがちだが、実は深刻な問題点があり、その価値は0に収束することが示せる。
暗号通貨は誰でもHF(ハードフォーク)によって複製を作ることが可能である。例えば昨年はビットコインからビットコインキャッシュを始めとする様々なHFが生まれた。元のコインを所有しているものはHF先のコインも手にすることが出来る。これは暗号通貨の世界だけを見た場合には錬金術のように見えるかも知れないが、外の世界を含めて考えてみるとマイニングによる改ざん検証能力が分散する(二つのコインを同時にマイニング出来ない)ため本質的な価値は増加していないと言える。つまり、HF前のコインの価値をA、HF後のコインの価値の和をB+Cとすると、A=B+Cが成り立つ。
一方でPoS型のコインの場合、HF後の二つのコインを同時にマイニングすることが可能であり、またそれが最も経済的に合理的である。従って、HF後の二つのコインはHF前のコインと同じ改ざん検証能力を持つことになる。つまり、HF前のコインの価値をA、HF後のコインの価値の和をB+Cとすると、A=BかつA=Cが成り立ち、HFによって価値の総和はAから2Aに変化することが分かる。ここで、A>0を仮定すると、HFを繰り返すことにより無限に価値が増え続けることになり矛盾。従ってA=0が導かれる。