2018-01-19

思えば私はあまり夢をみない子どもだった

将来の夢は?と聞かれても答えることができなかった。世の中にある職業の全てを知らないのに答えられるわけがない。仮に今ここで言ってもそれが叶わなければ恥ずかしい。本気でそう思っていた。

小学生の頃、周りの大人はしばしば私に「将来の夢はなにか」と質問した。低学年の頃は「まだ見つかってない」と言って間に合っていたが、いつまでもそう言うわけにはいかなかった。

私は考えた。ほどほどにお金をもらって無理のない暮らしをしたい、と思ってそうこたえてみたことがあった。そうすると「やりたい仕事はないの?」と言い換えられてしまった。大人が言う「将来」とは「職業」のことなのだと知った。毎年書く学年文集には必ず将来の夢を書く欄があったし、大人は話の取っ掛かりに将来の夢を聞いてくる。なにか就きたい職業があることが健全らしい。

私は考えた。学校先生責任が重いし夜遅くまで働かなければいけないので大変。保育士は私は絶対かわいい子にだけ贔屓をしてしまうので無理。医者看護師なんて責任しかないのでやりたくない。動物は嫌いだしスポーツもできない。

あぁ、何もしないで暮らしていきたいなぁ。

残念ながら私はなにも夢をもたずに大人になった。

今、当時の将来の位置にいる。それなりの高校大学を出てそれなりの会社でそれなりの賃金を貰い、それなりに趣味を楽しみそれなりに生きている。

将来の夢ハラスメントを受けてもなおそのまんまだったけど、将来もそれなりに生きているので、小学生の私は安心してほしい。やっぱり今も働かずに暮らしたいけれど。

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