ちょっと前に、声優が使っているシャンプーだかを飲んでレビューした同人誌が、実際はワインのレビューのコピペしただけだったということも含めて微妙に話題になったが、私は気が気ではなかった。
十年程前に、私も十歳の頃だが、あややこと松浦亜弥がシャンプーのCMをしていた。セクシーなのキュートなのどっちが好きなの、のやつである。
それまで、メリットだのなんだのテキトーなにおいのシャンプーを使っていた私にとって、このイチゴの香りはものすごいものだった。本当にすごくいい香りなのだ。
ある日、お風呂に入っていて、シャンプーしている時、ふと、これは、もしかしたら、おいしいんじゃないかと思った。こんなにいいにおいがするし、味も甘いのでは?と。わたパチとかあるし、と。
そこで、シャンプーを泡立てて、食べてみた。
結局、おいしいかと言えば、おいしくはないのだが、逆にまずくもなく、いいにおいの泡(本当に泡である)で口の中がいっぱいになってシュワシュワ消えていくのを飲み込む感覚は、悪くない。
そういうわけで、私はシャンプーを食べるようになった。
終わりを迎えたのは、一ヶ月後くらいだったか。定かではないが、少なくとも二、三回ではなくもっと定期的に食べてはいた。
なんで食べるのをやめたかと言えば、いつものように泡立てて口に入れた時、全くおいしくなく(いつもと同じなのだが)、「私は何をやってるんだろう」と思ったからである。その時、初めてシャンプーを吐き出し、シャワーの水でうがいをした。
時は過ぎ、ネットで飲シャンレビューを見て、「私はさすがにそのままは飲めなかったのにすごいなあ、原液だと苦味が強いのか」などと思っていたが、少なくとも飲シャン本についてはデマらしいので、がっかりした。
シャンプーを食べていた過去は、さすがに自分でも変かなと思い本当の黒歴史と化しているが、今でも、私以外に本当にシャンプーを食べていた(飲んでいた)人はいないかと、探してしまう。秒速5センチメートルである。
胃の中ボロボロになるぞ