話題は代わり、友人は本を読んでみたいから良書を紹介いしてほしいと私に頼んだ。
私は酔いに任せて、私の人生に感銘を与えた三冊の本について説明した。あまりの熱さに息継ぎも忘れるほどだった。
ちょっとは話しすぎたかと思い、申し訳無さそうに友人の目を見ると友人は笑顔で頷いていた。
「おまえが、そうやって楽しそうに本の話をするのって、ほんと好きなんだよ」
と友人は言った。私はハッとした。仕事に疲弊し、意識は埋没し、職場の恨みぶしと上司への怨念で埋め尽くされた私の心が正月の空みたいにパッと晴れた。
そして私が本を読む理由は、ただ眼の前に広がる日常の外側を知りたかっただけなんだと思い出した。
立場は学生から社会人に変わってもこの日常という檻の外側を見つめる瞳だけは曇らせたくない。
キモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモ...