ほんと、馬鹿だった。馬鹿が調子に乗って良い研究室に入ったことが間違いだった。
どんな場所でも馬鹿が馬鹿でいていい期間ってあるはずだと思っていたんだけど、そもそもそれがおかしくて、
同期たちは自分よりも遥かにできる人間たちで、研究室に所属した瞬間から自分には居場所も同レベルの人間も、低レベルな自分を支えてくれる人間もいないと感じた。
なにより、研究室にいる人間たちがすべての面、たとえば研究以外の社会性、人間性、ユーモア、もう、本当にすべての面で優秀だったのがつらかった。
いっそ馬鹿にしてくれたほうがまだよかったんだ。そっちのほうがまだ気が楽だった。責めるところがあるから。本当に完ぺきで、責めるなんてことできなかった。
へらへら笑って楽しく会話をして、できが悪い自分にも分け隔てなく接する傍らで、毎週のように何らかの業績が生成されていく空間だった。
そこにいて、何も生み出せずにいる自分は存在意義がないように感じた。
自分について指導してくれる方も本当に優秀で、だからこそこの人の時間を奪うことがつらくてたまらなかった。
自分が研究室の誰かに時間を使わせるだけで1stTierレベルの業績が数時間数分数秒と発表が遅くなっていくのが手に取るように分かった。
自分を騙し騙し今まで居座っていたけど、いざ修論を書く段階になってそれが一気に襲ってきて本当にもうなんか無理だなこれと思って増田に書き始めている。
実際、ろくな業績もないくせにこの研究室の卒業生ですって名乗るのもおこがましい。変な話、逆の意味で学歴詐称をすることを本気で考え始めている。
あの研究室卒業でこれもできないのかと思われるのも嫌だし、これであの研究室を卒業できるのかと思われるのも嫌だし、
もっと言うと「卒業させてもらったんだな」と思われるのがわかりきっている。こいつはダメなやつなんだなって思われるんだろう。
結局は自分が何もできなかったのが間違いだったし、全部自分が悪かったんだよ。それに気づくのが本当に遅かったんだ。
研究室に入り自席のそばに来る度に、私が座る椅子じゃないなと思うようになった。もっと優秀で意欲溢れ自分から学び質問できる、そういう学生が座るべき椅子だった。
少なくともそれは自分ではないことだけは確信している。だから、私はさっさと修士辞めるべきだったんだと思う。辞めてどうするかなんて知らないけど、辞めたほうがよかったんだと思う。
辞めたほうが、よかったんだろうと、本当にそればっかり頭に浮かんでくる。もっと早くいなければよかった。もっと早く消えていればよかった。そうしておけばよかったんだよ。
俺も今、修論書いてるけどめっちゃつらい。 多分あなたはすごい優秀な研究室にいるんだろうけど、その恥に耐えてとりあえず何か書けば人生は明るいと思うぜ。