親が余命宣告された。
親も私も退院を待ち望んでいた。
帰宅したとたん、環境の変化もあって鬱が悪化した。被害妄想も加わった。猜疑心の塊になった。唯一の家族である私がその対象になった。
私が嫌で家を飛び出そうとするからチェーンに細工した。監禁されていると思い始めた。
いま、自分を憐れんで泣き、心配する私を睨み付け、手を振りほどき、背を向ける。
差し出す水を拒み、用意した食事を拒み、マンションのベランダのフェンスを乗り越えようとする。
翌日には何事もなかったようににこやかとなり、翌々日にはより悪化した憎悪を向けられる。
いつまで待てばその日が来るのか。
こんな親でも1年以内には死ぬ。
憎悪のなかで死んでいくのか。
それを見送らなければならないのか。
その前に、親より先に死ねればと強く願っている。もはや子供の死を理解することもないだろうから、泣かせることもない。
これを読んだひとが、私の死を願ってくれれば、こんなに幸せなことはない。
よろしく頼む。