イカといってもおつまみようのイカで良いのだ。
・げそ
・あたりめ
・辛いあたりめ
・さきいか
おいおい、これだけ揃えて消費者を惑わす気か。
そもそも俺はイカならなんでもよいと思ってやってきたぐらいだ。
イカの「これ」が食べたいとかは無いのだ。
(どのイカにすれば自分は満足できるのだろうか……)
多くの種類は買うことはできない。
買うならどれか一つだ。
あたりめならハズレはない。
心の中でイカちゃんが囁く。
ほんじゃ、いかくんかなー。小さい時好きだったんだよな。
少しだけ残っていたいかくんを飼い猫にあげたら腰を抜かしたよな。
あー、あの猫もかわいそうなことをしたなー。
などなどと郷愁にふけれる。
よし、昔を思い出すためにいかくんにしよう。
そう思って、いかくんを買おうとしたところ、
レジへ向かった。
(え?あ……やられた!)
俺が買おうとしているのはいかくんだけだぞ。
くそー、もうこれでは買いに行けないではなイカ。
心の中でイカちゃんが嘆く。
しかもおっちゃんのレジをすました若い女性店員がこちらをちらちら見ている(気がする)。
(あー、これ、不審者だわ、完全に不審者か、どのイカを買うか迷ってるおっさんだわ)
とにかくなにかをか買ってこの店を出よう。
そう思って、目の前にあった「窯出しとろけるプリン」手にとってレジをすませた。
とりあえずここはしのげたじゃなイカ。イカは次でいいじゃなイカ。
心の中でイカちゃんが励ましてくれた。
ありがとう、イカちゃん。