長年大相撲を見てきた私の祖父も、このことに大いに喜んでいた。
先日のことだった。日課の晩酌の際に「日本の国技なんだからこのまま日本人力士だけで横綱・大関のポストを独占するべきだ。モンゴル人なんか見たくない。」といった旨の発言をしていた。
その言葉を聞いた私は、思わず「メイク・ジャパン・グレート・アゲインかな?」とこぼしてしまった。
食卓の空気が止まり、十数秒後話題は別のものへと変わった。祖父は少し素面に戻ったような気がした。私も言い方がまずかったと反省した。
祖父のような老い先短い高齢者に、自国籍の人も他国籍の人も平等に扱う態度を要求するのは酷であるとは思う。
それでもせめて、強い日本出身力士がなかなか出てこなかった角界を支えてきた外国出身力士たちへと、今一度思いを馳せるくらいのことはしてもらいたかったのだ。