大絵画展を読んだ。コンゲーム小説ははじめて読んだけど、こうも展開が弄ばれるものなのかとびっくりした。いまは新鮮で強烈な読書感がぐるぐるしている。
コンゲーム小説の常なのか、この小説が際立っているのかわかんないんだけど、物語の序盤は結構イライラさせられた。
愚かな主人公壮介がずるずると深みにはまっていくくだりは、展開上必要だとはわかってもつらかった。
反面、同じく泥沼にはまってしまうもう一人の主人公茜はかわいそうだった。
むろん出発地点が悪いんだと言ってしまえばその通りなのかもしれないけど、あんなに狡猾に逃げ先を塞がれたら嘘みたいな希望に縋ってしまうのも仕方がないと思う。
全体を通して思ったのは、無駄な人員がいなかったなあってことと、モノの価値と金に関するあれこれ面倒くさいことについてだった。
特に後者について。金ってわかりやすい指標だけれど、そのものの価値を雄弁には語ってくれないものだよなって思った。
というよりも、そのものの価値を知るためには知識なり教養なりが多分に必要とされるのであり、なおかつ想像力と共感力とを持っていないと理解することは難しそうだなあって気がする。
文章としては展開に重きを置いた成り立ちをしている印象。美麗さや荘厳な空気感はあんまり感じられなかった。
ネタバレになるけど、最終的に悪い奴がこてんぱんにされて、比較的いい人たちが報われるのがよかった。ハッピーエンドは素敵です。