自らの見識や知恵を凝縮し、数時間でそれを獲得できる形に加工することは彼らによる思いやりでもあるだろう。
しかし、他者の救いを必要としている弱っている人たちにとって、文章で提供するのは悪手だったりする。
精神的に弱っている人は、エネルギーを費やすこと自体が難しくなっている。
おまけに表現方法が多様になってきた昨今では、文字に対する抵抗感を持つ人の割合はかなり多くなっている。
この現状では、せっかくの名文をもって人を救おうにも、それが達成される見込みは薄くなってしまう。
執筆に勤しむものはそれに慣れているため、活字に対する抵抗感が少ないのでそれに気づきにくい。
コラムニストがイラストを多用するのは、文章という抵抗感を薄める手段としてはかなり効果的だろう。
自らの文章力のみに注視するのではなく、そうしたそもそもの目的を達成する手段を模索することも、これからの執筆者には求められる資質となると私は考える。