画面にヒビのはいったiPhoneをいじりながら焼き鳥をつまむ。
テレビでは夕方のニュース。隣国に出来たディズニーランドについて放送している。
開園と同時に嬉しそうになだれ込む人々。ミッキーとじゃれる太った女の服装は野暮ったくて、それはかの国が大して所得のない中間層でもこのようなレジャーを享受できるだけの経済力を手に入れたことを示していた。
場面が変わる。園内の水飲み場で汚れた足を洗う人々。昼食時に地べたに座り込んで弁当を食べる人々。「マナーの悪さが問題に…」というテロップ。
だけれども最も醜悪なのは、わざわざ中国のテーマパークまで行って、中国人の“マナー”とやらに口出しする日本人の方だ。
他人の家に上がり込んで、「箸の持ち方がなってないですね」「味噌汁を飲むときの音がうるさいですね」と口をはさみ、「これだから◯◯家は…」という輩がいれば誰だってキチガイだと思うだろう。
日本はそういうキチガイじみた行動をとらなければ自尊心が保てないところまで落ちぶれてしまった。
ビールで焼き鳥を流し込もうとジョッキに口をつけると、隣の親父が「これだから中国人はなぁ!」とテレビに向かって悪態をついた。