2016-07-29

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金の国水の国を読んだ。取り立ててこれがすさまじいって箇所はないんだけれど、緊張状態にある二国の間柄を愛が結びつけるっていう王道物語が適切に描かれていたのがよかったと思う。

それぞれの国の状況がしっかりと設定しているのに好感が持てた。二つの国それぞれにちゃんと特色があって、その特色ゆえに問題を抱えている。加えてその問題がちゃんと物語に絡んでくるのがよかった。構造としては特に奇を衒ったものではないのだろうけど、そういったところをちゃんと抑えるのって重要だと思う。簡潔な物語にも奥行きや厚みを感じることができた。

また岩本ナオ特有のゆるーい雰囲気が全体にいい効果をもたらしていた。描かれている内容はもとより、終盤の切羽詰まった状況なんかかなりシリアスで厳しい表現もできるはずなのに、ほんわかした絵柄と台詞回しと作者のセンスとが相まって、どこか童話めいた朗らかさが感じられるのが面白かった。

この内容を一冊で完結できたのはすごいと思う。思うけど、もっと一つ一つのエピソードを長く読んでいたい気持ちも生まれしまった。ぎゅぎゅっとエッセンスが詰まっているからこそ、もっと物語に浸っていたかった気分。さっくり読めるいい漫画なんだけどね。

関係ないけど、最近漫画しか読んでないのでだめだと思う。読んでもないのに文庫本ばかり増えていくし。ほんとだめだと思う。

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