ひとつひとつの情報は小出しになっていて、少しずつ状況は飲み込めてくるんだけど、三巻まで読み進めても描かれている社会全体のシステムや、「なぜ」「それら」が「そうなっている」のかがいまひとつ分からない。というかむしろ物語の基盤をなすそれらの謎がより大きくなっていくのがすごいところだし、面白い漫画なんだと思う。
どの巻も帯の煽りが不穏なのが気になる。三巻では天国の街の様子も描かれていて、それが一層この漫画の分からなさを加速させている。またかつて天国というか現実社会で巨大な地震や津波のような天変地異に見舞われた描写もあって、瓦礫を処理している場面や、それらと無関係に過ごしている現実社会の人々の暮らしぶりを対比させると、東北大震災以後の社会をテーマにしているのかなとも思うんだけど、それだけじゃランドの存在が説明できなくてもやもやする。
全体的に分かっていることと分からないことが明白に色分けされた漫画だから、ミステリー好きが読んで損はないと思う。