死ぬ前に書き残そうと思った次第。
僕が子どものころ京都の北のはずれ岩倉というところに住んでいた。
今でこそ家が立ち並んでいるが当時は戦争とは無縁な田舎だったが、
それでも大阪が空襲を受けると空が燃えるように赤くなって怖かった。
当時の大人たちは次は京都の番だとささやいて恐れていた。
有る時、親戚を頼って滋賀県の虎姫の方へ移住することになった。
もう終戦間際の話である。
田舎の滋賀県でもさらに田舎のところだから爆撃なんて受けない。
なので上空を敵国の戦闘機が飛ぶと、みんな竹槍をもって、空にむかって
それをみなが一斉に真剣な顔をしてやっている。
田舎とは恐ろしいところだと思っていたが口にはだせなかった。
みながエイッエイッと竹槍を上空に突き刺していたら本当に戦闘機が落ちてきた。
もちろん竹槍が功を奏したのではなく、対空射撃がたまたま当たったのである。
竹槍で刺し殺すためである。
毎日毎日鬼畜米英と教育をされていたので、外国人をほとんどみたことがない
結局そのパイロットは竹槍で突かれ惨殺された。
僕は死体はみなかったが、地上に降りるや否や殺されたらしい。
みな敵を撃ったと喜んでいた。
当時の僕はやったかーと興奮して夜は眠れなかった。
今でもあの時のパイロットは記録に残っているのだろうかと思うことがある。