こいつ俺が告白したら付き合ってくれんじゃね?というような感覚ないし錯覚をいだくことはある。が、つきあいましょうというには到らない。
たんに勇気が無いだけでしょ?と言われればそれまで。が、こっちにも言い分はあるのじゃ。
そもそも告白という行動は周囲の人間関係に強烈なショックを引き起こす爆発物なので扱いには万全の注意が必要である。
まず、相手の女子が自分を好きであるかどうか、今までの全会話履歴を多角的に分析、さらに他の男子との会話とも比較考量し、彼女が私を好きである蓋然性をはからねばならない。
さらに、自分はその女子をほんとうに好きなのか、三日で慣れることはあっても飽きたりしないだろうか、下半身の自由意思に従った結果いちばん近くにいる異性に反応しただけなのではないか、という点について考える。
考えてみると、ほんとうに好きならそもそもこんな問いを自分に投げかけたりしないのではないか、という気がしてくる。
「恋は盲目」ってのはさすがに物語のなかだけだとしても、もうちょっと、視力が落ちるくらいのことはあってもいいんじゃないか。
それでもって、俺はこういうことを考えている自分がけっこう好きなのである。
相手が複数であればその楽しみもひとしお。どの人が自分のこと好きなんだろうか、自分はどの人のこと好きなんだろうか、とやってると無性にワクワクしてくる。
つきあうということはある意味で盲目になるということであって、そうなったらこういう綱の上でふわふわするような高揚感はなくなってしまうのではないかと思う。
そういうわけだから、どっかに「あんた、私とつきあいなさい!」と言って俺の手を引いてくれる強気お姫様がいたらいいと思う。そのときはよろこんで略奪されよう。