町内会には自警団があり、強盗がやってくると武器を持って助けに来てくれます。
うちには祖父の時代に町内会長さんに言われて作った「武器を持って戦ってはいけない」という家訓があるので自警団には入っていません。
しかし、町内会長さんから「最近物騒だし、強盗に入られた家に助けを求められたときはお宅も助けに来てほしい」と言われました。
確かに、最近となり町の偏屈一家が近所にちょっかいをかけてくることが増えました。
少し前にはお隣さんの庭先で刃物をチラつかせる騒ぎもありましたし、お隣やうちに目をつけているという噂も耳にします。
お兄ちゃんは「うちには家訓があるじゃないか!強盗が来てもあれを見せて説得すれば、怪我をさせられることはないだろうし、真摯に説得すればお金を巻き上げられることもないさ!」といいました。
お姉ちゃんは「強盗に説教して帰ってくれるならセコムなんていらないわよ。うちには強盗が刃物で襲ってきてもやり返せる日本刀があるじゃない。いきなり強盗に斬りつけるわけじゃないし、お隣さんやうちに強盗が入ってきたらこちらも応戦するぞ!って言っておけば強盗も入ってきづらいわよ」といいました。
僕は、うちに強盗がやってきたら町内会長さんやお隣さんが助けに来てくれることになってるし、お姉ちゃんの意見に賛成でした。
でもお兄ちゃんは「町内会長のところだって前にとなり町に言いがかりつけて殴りこみに行って、さんざん白い目で見られてたじゃないか。お父さんは自警団加入に乗り気だけど、自分だけ町内会長さんに誘われて美味しいもの食べに行ってるからいい気になってるだけで、俺らのことは考えてくれてないんだよ。それに弟に武器を持たせて強盗の入った家に乗り込ませるなんてとんでもない!」といいました。
僕は、たしかに町内会長さんもワンマンな性格で、力で適う人がいないのをいいことに、自分の都合のいいように町内会の規則を変えたりしているなあと思いました。
それに、もしお隣に強盗がやってきて、自分が武器を持って強盗を追い払いに行かないといけないことになったら怖いなあと思いました。
するとお姉ちゃんは「町内会長さんは確かに気に食わない所もあるけど、うちに強盗が入ってきたららどっちにしろ家族を守らないといけないでしょ。それにお隣に強盗が入ったからって、いきなり弟に行かせるなんてしないわよ。うちには剣道をやってる叔父さんがいるんだし。」といいました。
お兄ちゃんは「それでもお父さんがいつ”お隣の強盗をやっつけにいけ”って言い出すか分かったもんじゃないよ。それどころじゃない、町内会長が”となり町に殴りこみに行くのを手伝え”って言ってくるかもしれない。叔父さんだけじゃなくて俺たちや弟だって・・・」といいます。
すかさずお姉ちゃんが「そんなの飛躍しすぎよ。悪い可能性の話をしたらきりがないわ!実際治安が悪くなってるのに、そんなんじゃいざというと家族を守れないわよ!」と反論します。