なんとなく思い出したのだが、昔、ロックシンガーがパーソナリティを務めるラジオを聞いていたら、
高校時代、進学校の連中と諍いが起こって学校を上げての喧嘩に発展したらしい。
「でもそいつらが最悪だったのは、小遣いを出し合ってヤクザを雇ったんだよ。
親からもらった金で。
俺達も鉄パイプ借りに行かなきゃいけなかったし、
前歯が無くなった奴もたくさん出た。
そして喧嘩の爽やかさも何もなく、ただ後味の悪さだけが残った」
というようなことを言っていた。
聞いただけだけど、なんとも後味の悪い話だった。
どちらかと言えば不良にからまれる方だった俺にとっても、なにか後味の悪さを感じさせた。
今考えると、結局、正義とは何かという話なんだよな。
異なる価値観がぶつかった時に不幸が起きるという話なんだ。
「わだかまりがあったら、お互いに数えるのも面倒なほど殴りあって、
どっちもどっちってことにしてチャラにしようぜ!」
これがお前たちのルールに則った解決法なんだろ?」
片方がもう片方に、自分達のルールを無理やりに適用しようとしてすれ違いが起こった。
しかも負けた。
高学歴連中からしてみたら、振りかかる火の粉を最小の被害で振り払ったのだから、
それまで自分のルールつまり正義を無理に通すことのできた暴力側が、
年齢が上がることによって触れた新しい正義、社会的な権力に負けたという話だ。
そう考えると、なんだか世の儚さみたいなものを感じる。