俺はそこでケチくさい役職についてるから、「ご相談したいんですけど、これ…」とか「ちょっと見ていただきたいものがあって…」などと、しょちゅう女たちが席にやってくる。
近いんだよ。
仕事だからしょうがねえんだけど、ババアの顔が1メートルの所にあるのはきつい。
あ、ここで言ってるババアって、32以上。
32で確実に女の顔は変わる。俺の知ってる範囲だが。
正直、不快な気分になる。早朝の通勤途中、道端で吐瀉物を見て反射的に避けるとき、あれと同じ感じだ。
やせていても目につくたるみ、毛穴の開き、低い鼻のあたまに浮いた油、首のしわ。
仕事だからしょうがねえから、そういう汚ねえものは見ないようにするんだ。
でも、あからさまに目をそらすと、悪評がたつだろ。
だから、相手の目だけを見るようにする。真剣に話を聞いている、そう自分に暗示をかける意味もあるが、実際に一定の効果はある。
すると目に入ってくるのは目じりの小じわ。で、詰むわけだ。
というような感情を押し殺して、女のもってくる案件に集中するわけだ。
なかなか、きついものがある。
でも不思議なことに、ある程度の年齢を越した女は、なんかさらっとしてるんだ。
顔はてかって毛穴も開いてるのに、感覚としてはさらっとしてる。
なんかいろいろあきらめて、枯れてるんだろうな。
枯れてるからギトギトしたきたねえ年増な感じは少ない。
問題は30代の前半なんだよ。
現実みろよ。