球技大会のことを、
あれ以来誰一人としてわたしには触れてこなかった球技大会のことを
あなたは寄せ書きで触れていて、驚きました
あのとき助けてくれなかったのって、もう相当わたしのこと嫌だったのだと思います
団体競技で足を引っ張るだけで、なかなか上手くできず、
チームのキャプテンの「なんでできないの?」という問いに
答えないわたしを何度も見ながら、さすがのあなたも
さぞやきもきしてたのだろうと思います
本当になんでできなかったんでしょうね
キャプテンも最初からそうではなくて、丁寧に何回も教えてくれていたのに
その年の球技大会のことはよく覚えていません
覚えているのは、
苛立った声でキャプテンが言った「なんでできないの?」という言葉と、
そういうわけで、あなたと関わるようになるまでは、あなたが少し怖かったです
あなたはサーブが打てないわたしに根気よく打ち方を教えてくれました
授業前に早めにコートにきて練習するわたしに、
ただ「こうだよ」と何度も何度も教えてくれました
同じことを何度も何度も言わせました
けれど気長にあなたは練習に付き合ってくれました
その甲斐あって数ヶ月後に、ようやく初めてサーブが入ったときの
班の人たちとあなたの顔は忘れられません
後悔してるのではないかと思いました
だからあんなに気長にサーブを教えてくれたんだろうと今は思います
あのすごい剣幕でわたしを責め立てるキャプテンを咎めるのは、
さすがのあなたでも無理です
そんなのわかってます
あなたはよく人に無駄絡みをしてじゃれついていてメンタルが弱そうで、
それだけに罪悪感は持たせたくなかったから、
上手く立ち回ったつもりだし、愚痴を漏らすときはまったく関係がない人に
相手をしてもらってたんですけどね
寄せ書きに書くくらい気にしてたなんて、気付きませんでした
けれどね、
いつも不器用でお世辞の一つも言わないくらいだけど、
面倒見がよくて、
愛想のないわたしに話しかけてくれて、
髪を切ったら毎回気付いてくれて、
よく授業を寝ていたわたしに躊躇いもなく
「(寝てた分のプリント)見る?」って言ってくれて、
「あ、そう」ってすぐ前向いたくせに後で一緒に帰った時にさらっと褒めてくれて、
面倒を見てもらったお礼を言ったら
ちょっと黙って言葉に迷ってるようなあなたがわたしは本当に大好きです
わたしの方が数ヶ月早く産まれたけど、内心姉のように慕ってました
と、寄せ書きに書いたら引かれそう(あなたのみならずクラス全員から)だし、
ここまで書くの恥ずかしいし時間かかるし、
きっと書きながら泣いちゃうので、書きませんでした
そして話すの苦手なんで、これからも絶対言いません
いろいろ迷惑かけてごめんなさい
こんなにもよくしてもらったのが今でもとても不思議です
でも本当にありがとう
うん わたし頑張ったよね
もういいんだよね
もういいよね