2014-02-07

忘れたくても忘れられない先輩の言葉

もう20年近く前になる。

大学入学したての5月、私はゴルフサークルの新入生歓迎コンパに参加した。

宴会が進むにつれ、私たち新入生も緊張がほぐれ、同じテーブルについた先輩と出身高校の話題で盛り上がった。

大学大阪にあるのだが、地元からはもちろん、遠く離れた地方から進学している者も少なからずいる。

先輩は東京出身だそうで、こちらに来てから覚えたであろうネイティブとは多少アクセントの異なる関西弁で話す人であった。

先輩が新入生の一人に出身高校をたずねると、その女の子は「付属平野です」と答えた。

それを聞いた先輩は「何や、フヒラかー」と関西人ばりに大げさなリアクションをとった。

付属平野」とは正式名称大阪教育大学付属高校平野校舎といい、大阪に三校ある大阪教育大学付属高校の一つである

他の二校は、iPS細胞山中教授が学んだ「附属天王寺」と、高校ではないが附属小学校で痛ましい事件が起きた「附属池田である

関西では略して「附属天王寺」をフテン、「附属池田」をイケフ、と呼ぶ事もあるが、「附属平野」に関してはそのままフゾクヒラノ、またはヒラノと呼ばれることが多く、先輩が言ったような「フヒラ」という略され方を聞いたのは後にも先にもその一回だけである

「何や、フヒラかー」

全く意味をもたない言葉であるが、なぜか呪いのようにいつまでたっても忘れられなくて困っている。

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