最初の6割ぐらいはひたすら戦局や当時の様子の話だったが、
太平洋戦争航空史話上~下を読めば書けそうな内容で、
残り4割はどこかで見たようなお話だった。
ただのうんちくの小説風、または食べやすくした新書に過ぎなくて、
とてもじゃないけど作家ってスゴイと思わせられるようなところが全く無かった。
分からないけどすごいエネルギーのある文章で構成された人の道を外れたなにかを提供してくれるものだ。
こういった小説は頭の良い人には誰でも書けるのではないだろうか。
(そういう本も必要なのかも知れないが、今までに無かったわけでは無く、
結局はあまり本を読んでいない層が読みそうな本、であるだけだ。
世の中、そういう本を目立てようとする人がいるし、
そういう本を~大賞で箔付けるとすぐに売れてしまう。)
もしかしたらこれは1回読んだだけだと絶賛するかもしれない。
太平洋戦争の事もゼロ戦の事も興味のなかった人には目新しくて、ふむふむ、なんて思いながら読める。
ただそれは蜀や梁山泊、新撰組の活躍に心躍らせる戦記ものと何ら変わりない。
そして読み返したらどうだろう。必ず前半の6割が蛇足に感じてくる。
読みたいのは残り4割であるが、その4割はどこかで読んだようなお話だ。
結果、この小説には何度も読み返したくなるほどの興奮や感動は無くなってしまう。
この本を読んで、え、なんでこんなのが、なんて違和感を感じなかったのだろうか。
他の人は何度でも読み返すくらい小説に没頭した体験はしなかったのだろうか。
したとしても、うんちくの小説風に没頭した経験なんか無いと思う。
たまには本屋の平積みやPOPから目を上げて自分の魂に聞いて本を探してみて欲しい。
語り部として全国行脚しても問題が無いぐらい記憶力が良くて面白かった。
これはトンデモとして無理やり腑に落とした。)