2012-11-03

少子化により、学級定数の弾力性・冗長性が失われている

いわゆる「クラスサイズパズル」論争の仕掛け人として、少し補足。

見落とされがちな点であるが、

「40人学級」「35人学級」と文部科学省定義した場合

実際の学級人数が「40人」「35人」ピッタリになるケースは、レアだ。

当たり前だが、クラスの数は整数で、小数にできない。

例えば「2年生人数が71人で、文部科学省の基準だと35人学級」という場合

71÷35=2.03と割り算して「クラス数=2.03」とはならない。

切り上げ処理で「3クラス」となる。

この場合、実際の人数は71÷3=23.7、つまり23人ないし24人のクラスになってしまうことになる。

そして、この点が最も重要なんだが、

「第二次ベビーブーム時代と比べて、学級当たり人数が減少している今では、

 学級定数の弾力性、冗長性が失われている」のである

先述のケースで「2012年時点の2年生は71人」の小学校も、

1979年時点では「2年生は141人」だったかもしれない。

この場合、141÷35=4.02、切り上げて5だから

クラスの人数は141÷5=28.2人、28~29人だ。

28~29人のクラスと、23~24人のクラスでは、大分違う。

要するに、第二次ベビーブーム世代は、学級人数が多数で

「1学年に4~5クラスが当たり前」だったため、

「35で割り切れない人数、中途半端な人数」だった場合でも、

クラス人数編成への影響は最小限に抑えられていたのである

言い方を変えると、人数の多さで以て「冗長性を確保」していたのだ。

しかし、少子化が進んで、1学年1クラスとか2クラスとかが珍しくなくなると、

中途半端な人数だった場合の「クッション」が存在しなくなる。

極端な場合、「1学年36人」だった場合

36÷35=1.03、切り上げて2になって、

人数=36÷2=18になってしまう。

少子化によって、このような「予期せざる少人数学級」が、多数出現してしまうのである

「1学年18人」となると、いわゆる秀才、上位層の厚みも少なくなるだろうし、

競争も起こりづらくなる。

クラスサイズパズルが発生しても、不思議ではない。

マスコミが「40人学級」「35人学級」と報道した際、我々は第二次ベビーブーム時のイメージで、

「実際の編成は、37人だったり、33人だったりする程度だろ?」と思いがちだが、

学年まるごと少子化現象によって、

「運悪く中途半端な人数だと、22人とか、18人とか、想像以上の少人数クラスが出現しかねない」

という点に留意する必要がある。

実は財務省が用意したペーパー

http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia241101/04.pdf

の10ページに、「20年前と比較した場合の、実際のクラス人数対比グラフ」が存在していて、

「25人以下学級」出現比率が増えていることが明らかになっている。

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