3年ほど前に起業した後輩と飲んだ。
彼が起業した時は俺が起業して4年目くらいで、ようやく会社も軌道に乗りつつあると言うか、まあまあ安定して食えるかなという位になっていた。
そんなこんなで起業にあたっては何かと相談を受けることも多く、俺も乏しい経験の中から色々起業時の注意点などを教えていた。
で、そんな彼が3年目に入り、知り合いが起業するということで相談されたそうだ。
「いや、オレやめたほうがいいよって言ってやったんですよ。無茶苦茶きついし、事業計画聞いたけど穴だらけで…。
と、彼はイラついたように話した。
「いやいや、お前だって3年前は経営者むきとかそんなんじゃなかっただろうし。
そもそも事業も始めていないのに経営者むきの人間ってどんな人間だよw」
「リスクがあるのはわかるけどさー。
それってどんだけ上目線なのって話じゃん。
だって『俺はリスク乗り越えられるけど、お前には無理だからやめろ』って言ってるのと同じだろ。」
「うーん…」
分かる。
後輩はそれなりに自信が出てきたんだと思う。
会社の経営ということが3年かけてわかってきたからこそ、起業の難しさがようやく分かるようになってきたんだと思う。
コレは俺も同じで、やっぱり3~4年くらいの時に同じような感覚だった。
でも、後輩が相談しにきた時にやめろと頭ごなしに言わずに済んだのは、俺の相談をずっと聞いてくれてた知り合いの社長のおかげだ。
俺が飲み屋で、同時期に起業した経営者を、あの経営者がどうだとかあの会社はどうだとかこき下ろしてた時にこう言ってくれた。
「まあそんなに言うな。お前だって3年前はヘラヘラしてて、言わなかったけどとても会社が持つとは思わなかったんだぞw
周りの先輩の社長さんたちだってお前の取引先の人だってそんな風に思ってたはずだ。」
そうなんだ。
みんな試行錯誤して、他の人に支えられて少しづつ経営者らしくなっていくわけで。
で、ちょっと上手く行きだすと勘違いしちゃうんだよな、上手く行くのは俺が特別だから、俺すげえええって。
別につけあがってるわけじゃないんだけどな。ちょっとの、ほんのちょっとの勘違い。
自信つくとついつい自分の目線より下の人をこき下ろしたくなってしまうものだけど、そのポジションってついこの間まで自分がいた場所なわけで。
起業に限らず普遍的な老害化のメカニズムだと思う。 うまく言えないけど、確率という概念を理解できてないんだと思う。
最初から経営者向きな人間っていねぇだろって話 「経営者に向いた人」はいるだろ、普通に。 最初穴があるのは単に経験がないだけで、経営者の向き不向きとは関係ない話じゃねぇ...