告示により、購入者全員に提供される景品、いわゆる総付景品については、その価額が商品取引価額の20%を超えてはならないとされている。例えば販売価格が25,000円のニンテンドー3DSの場合は5,000円が上限となる。
但し、取引通念上妥当と認められる範囲内でキャッシュバック等の方法により購入者全員に代金の割戻しを行うことは「景品」ではなく「値引き」に相当するとの理由から上記規制は適用されない。自店で使用できる金額証や割引券を提供する場合も同様である。
つまり、ニンテンドー3DSの既存の購入者全員に10,000円相当のポイントを還元したとしても景品表示法上の問題は生じない。
例外の例外として、それが特定の商品としか交換できない場合は実質的に景品と同じであるから規制対象となる。具体的には還元されたポイントの使途をマリオやゼルダの購入に限定するという場合は同法に抵触する可能性がある。
その考え方を採用する場合、現状のVCタイトル合計20本という還元方法についても疑義が生じる。仮に1本500円として計算すると10,000円相当の景品となり、取引価額の20%という上限を超えているからだ。
これについては、そもそも景品表示法上の「景品類」とは「顧客を誘引するための手段」としての経済上の利益を言うので、既存の購入者に対して金品を提供しても新たな「顧客を誘引」したことにはならないとの考え方もできよう。では3DSの値下げ発表から実施日までの期間についてはどう考えるべきか。実際、今回提供されるVCタイトルに魅力を感じ、たとえ高額であっても現行価格で購入したいと考える人もいるようである。しかしその場合でもセット販売は景品とは看做されないので、VCタイトルのダウンロード権が付属した「お得パック」ということにすれば問題ないと思われる。
結局、「アンバサダー・プログラム」が景品表示法上問題ないと考えるのであれば、それに代わるポイント還元プログラムを実施したとしても同様に問題ないと言うべきであろう。
任天堂によるニンテンドー3DSの大幅値下げとそれに伴う「アンバサダー・プログラム」の発表を受け、ユーザーからはVCタイトルの無償配信ではなく相応のポイント還元を求める声も出て...
次に、景品表示法上の問題について検討する。 告示により、購入者全員に提供される景品、いわゆる総付景品については、その価額が商品取引価額の20%を超えてはならないとされている...