2022-06-17

アニメ映画「犬王」と原作小説平家物語 犬王の巻」の違いについて

TVアニメ版「平家物語」 → 映画「犬王」 → 古川日出男小説平家物語 犬王の巻」 と見て、ちょっと思いついたことがあるので増田に書き殴る。

【注意】 「犬王」および「平家物語 犬王の巻」に関するネタバレがあります

犬王に取り憑いている怨霊と、解呪の条件

映画版「犬王」では、犬王に取り憑いているのは「平家怨霊である。まず平家怨霊が犬王に取り憑く理由がはっきりしない。

そして物語の前半、犬王が踊りの技を身に着けるたびに呪いが解け、犬王の異形の身体が少しずつ正常に戻っていく、と本人が語っていた。

ところが物語の後半では、平家逸話を題材にした演目を演じるたびに、呪いが解けて体が戻ることになっていた。この条件もよくわからない。

結局、不思議呪い不思議な条件で解いていく、不思議な話になっていた。

ここは、原作小説と大きく設定が変えられているところだった。唯一といっていいほどの大変更である

原作では、犬王に取り憑いているのは「犬王の父親が殺した琵琶法師たちの怨霊である。犬王に取り憑くのも当然である

そして呪いが解ける条件は「犬王が比叡座の踊りの技を身に着けること、または平家逸話を題材にした演目を演じること」であり、

それらは「犬王の父親がいけにえを捧げて得たものを、犬王が奪い返すことで、呪いシステムを逆転している」という理由がつけられていた。

これなら話の筋はずいぶんと明解になる。復讐譚だ。

でも、なんで設定を変えたんだろう?

TVアニメ版「平家物語」との関わりかも

ここで「犬王」とは直接関係のない、TVアニメ版「平家物語」のことを思い出した。

原作は同じ古川日出男の「平家物語現代語訳、アニメ制作も同じサイエンスSARUではあるが、監督が違う。

「犬王」の湯浅政明監督に対し、「平家物語」は山田尚子監督である京都アニメーション出身の。

そう、「犬王」の物語は、京都アニメーション放火事件を奇妙に連想させるのだ。

「犬王」原作小説では、犬王の父親は、(平家逸話という)物語を盗むため、琵琶法師(=物語の語り手)を何十人も殺した。

京都アニメーション放火事件では、犯人は、(自分投稿した)物語が盗まれたと思い込み京アニ社員(=物語の語り手)を何十人も殺した。

この符合をそのまま映画「犬王」に持ち込むと、犬王に取り憑いているのは京アニ社員怨霊となり、犬王は彼ら/彼女らを成仏させるため犯人復讐することになってしまう。

それを避けるために、映画「犬王」では、怨霊琵琶法師(=物語の語り手)ではなく、もっと無難な「平家怨霊」に変えたのではないだろうか。

そんなことを思いついてしまったのだが、自分名前が出るブログに書くようなことでもないので、増田に放流する次第である



なお、古川日出男の「平家物語 犬王の巻」は2017年刊行であり、2019年京アニ放火事件とは全く関係ありません。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん