沖縄県では新型コロナウイルスによる死者が昨日(7/9)までに合計206人、報告されている。
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/hoken/kansen/soumu/press/20200416_covid19_pr.html
沖縄県の人口は145.7万人(2020年2月2日時点)らしいから、百万人に141人くらい亡くなっている計算で、これは東京に次ぐ全国5位だ。(ちなみに1位ははてなーの期待通り大阪で、北海道、兵庫と続く。沖縄の場合、人口あたり感染者数では1位なので、死者数が報告のとおりなら死亡率の面では健闘しているといえるかもしれない。)
ただ、沖縄県が報告している死者数を鵜呑みにできない事情があり、実際の死者数はこれよりももっと多い可能性がある。
知ってのとおり沖縄ではこの5月末から6月初旬にかけて全国的に類を見ない国内最大規模の感染爆発を起こし、その後、医療崩壊を起こし他県からの支援を受ける必要に迫られた。
5/25〜5/31の7日間の感染者数は1859人を数えたが、この百万人あたり1276人という人数は、東京の人口約1400万人に換算すれば17863人/7日、1日あたり2552人である。東京の1日あたりの感染確認者数の最大値が2520人(2021.1.7)で、しかもその前日は1640人に過ぎないとおり特異値だったことから、百万人あたり1276人という数がいかに大きいかが伝わるだろうか。ちなみに、インドの7日間感染者数の最大値は、百万人あたり1985人である。
そのような大規模な感染爆発を起こした沖縄は、現在、その時期に感染した死者の数が積み上がっているところである。
が、その報告が甚だ遅い。
たとえば最新の7/9付第113報で報告された202〜206例の死亡日は6/13〜6/26であり、死亡から報告まで13〜26日も要している。そして、未だに7月の死者の報告がない。
沖縄県がこれまでに報告した死者205例の死亡報告は、死亡日から平均7.4日、遅れている。しかも、報告の遅れは、下表のとおり感染爆発に伴い悪化している。7/6以降に報告された192〜206例目に限れば、死亡報告の遅延日数は平均16.7日(13〜26日)にもなる。
年月 | 死者数 | 遅延平均 | 遅延中央値 |
---|---|---|---|
2020年4月 | 5人 | 0.6日 | 1日 |
2020年5月 | 1人 | 1.0日 | 1日 |
2020年6月 | 1人 | 1.0日 | 1日 |
2020年7月 | 1人 | 10.0日 | 10日 |
2020年8月 | 26人 | 4.3日 | 2日 |
2020年9月 | 12人 | 1.6日 | 2日 |
2020年10月 | 18人 | 3.4日 | 3日 |
2020年11月 | 7人 | 7.3日 | 5日 |
2020年12月 | 9人 | 4.1日 | 4日 |
2021年1月 | 13人 | 7.3日 | 6日 |
2021年2月 | 25人 | 6.0日 | 4日 |
2021年3月 | 10人 | 8.8日 | 8日 |
2021年4月 | 8人 | 8.4日 | 7日 |
2021年5月 | 22人 | 9.2日 | 7日 |
2021年6月 | 46人 | 13.3日 | 14日 |
2021年7月 | 0人 |
(※尚、上記の表の死者合計204名が206名にならないのは、67例目(2020年11月18日付第44報)と117例目(2021年2月26日付第73報)の死亡日が非公開のため)
死亡報告が遅れているというのは、単に数値がタイムリーではないというだけではなく、そもそも公表されていない死亡例がいる可能性を示唆する。
コロナの死者を公表するかどうかについては、実は統一ルールが無いらしく、遺族の許可を得て公表する自治体と許可を得ずに公表する自治体とがある。
許可を得ずに公表している自治体では、死亡から0〜2日程度で公表されることが多い。沖縄では公表がかなり遅いから、おそらく遺族の許可を得ているのだろう。
公表に遺族の許可を得ているということは、遺族の許可が得られない場合はいつまでも公表されないということだ。この場合、報告された死者数は実際の死者数より過少になる。
たとえば、兵庫県(人口546.6万人)では、5/17日までは公表に遺族の許可を必要としていたことから、5/18に無許可分を一気に公表し、同日の報告死者数が129名に上った。前日までの累計死者数が895名だから、だいたい129/(895+129) = 12.6%くらいが未報告だったことになる。
もし沖縄の未公表率が同様だとすると、実際の死者数は報告済の人数の14.4%増になる(∵ 1/(1-0.126) ≒ 1.144 )から、沖縄の死者206名は、実際には237名くらいかもしれない。この場合、百万人に162人という人数は東京を超える。(ただし、遺族が公表を許可するかどうかは文化の違いによる部分もあるだろうから、兵庫県の数字がそのまま使えるとは限らない。)
死者の暗数よりも懸念されるのは、死者の公表がどんどん遅れていることから見える、保健所の業務負担過多だ。
沖縄県が公表している程度の内容であれば、十分に匿名化されているから公表に遺族の許可はいらない。だから、遺族の許可を得る作業はまるっきり無駄な作業だし、それのせいで正確な死者数やその増加を把握する妨げになる。
しかもこの有害無益な作業は、まさに感染爆発に対処している最中に増える。(「厳密には感染爆発からは遅れるのでないか」と思う読者もいるかもしれない。たしかに死者は陽性の増加の後に増えるが(沖縄の場合は平均14.7日遅れ)、その間は陽性者のフォロー期間なので、遺族の意向確認業務は感染爆発"への対処"の真っ最中となる。)
保健所の業務を合理化しているなら、この有害無益な作業は無くしているはずだ(だから、兵庫県は途中で方針変更した。)。
沖縄県は、日本で最悪の感染状況を体験しながら、保健所の業務を効率化しなかった。
誰か実務に通じた優秀な人が助言に入ったほうが良いと思う。
観光業で食ってんだから必要コストだろ
おそらく~の仮説からオチに持っていくの強力すぎませんか 高山先生はパージされちゃったし、兵庫県は岩田先生を派遣するのが筋ってもんじゃないんですかね
遺族の許可取ってないのに平均13日も遅れてたらその方がヤバいじゃん。 あと、なんで突然兵庫県を名指し?