おおよその若い人は熱が出て病院行ったら、とりあえずインフルエンザ調べて陰性なら、
風邪ですね、数日で治りますと言われ、もしかしたら、良くならなかったらまた来てね、と言われるであろう。
患者はいい方から考え、医者は悪い方から考える原則で言えば、白血病(に伴う敗血症や肺炎)、成人still病を代表とする膠原病、地中海熱、がんに伴うB症状、あたりが思い浮かぶが、これらは実際はまれ。
細かい説明は割くが、この病気は唾液感染、まあつまり、デビューしちゃった人がかかる病気だ。
40度の熱が1週間近く続き、リンパ節が腫れて肝機能障害が出るこの病気の治療法は基本的にはない。自然に治るのを待つ、逆に言えば、自然に治るのだ。
そこで熱を出した若い人は、大人の階段登ってませんか?と質問をされて、そんな覚えがなくても、唾液感染を起こす何かがあったんでしょうねと言われて帰されるのだ。
さて、翻って今回の発症者。
良くならなかったらまた来てね、と言われていないかもしれない。
インフル見て、陰性だったら一般待合室で待たされるかもしれない。
症状が呼吸器症状なのが伝染性単核球症とは異なる印象があることに注目するか。
採血してCTとっても肝障害がない、異型リンパが出ていない、リンパ節が腫れていないなら、伝染性単核球症じゃない、なにかおかしい、と思えるか。
(ただし、新型コロナ感染者に肝障害が出現するかについては詳細な報告がない。基本は呼吸器症状のようだが。)
PCRを行う基準に相当しないから検査しない、といわれたようだし、医者がしたくても保健所などの機関から断れたために検査できなかった可能性もある。
最後に診断をつけた病院の英断もあるが、それまでに何度も異なる病院から同一患者の検査をするよう依頼され続けた保健所が折れたのかもしれない。
何れにせよ、この先同じような症例が次々と出てきたときに、そのうちの多くはただの風邪で数日で治るだろうし、長く続く場合は多くは伝染性単核球症であろう。