2019-04-20

鏡に映すと左右は入れ替わるのに上下は入れ替わらないのは何故か

長年、人々をモヤモヤさせ続けてきたこ問題の分かりやす説明が出来上がったので共有しておきます

ちなみに「実は上下も入れ替わっているが脳の働きで上下が固定される」や、「目が左右にあるから」といった解答は間違いです。水面に映った像の場合、片目を閉じた場合などを考えてみましょう。

(1)

まず試しに鏡の前に立って右手を挙げてみます。当然、鏡の中の貴方左手を挙げますが、ここで少し深く考えてみましょう。鏡の中の左手があるのは現実貴方視点から見れば右側です。左右が入れ替わるというのは鏡の中の貴方視点に立った時であって、現実貴方視点基準にすれば右にあるものは右にあるまま。左も然り。勿論、上下も同様です。

と言われると「あれ、左右は逆になるはずでは?」と思うでしょう。たしか文字を鏡に映せば左右が逆になることは明らかに思えます。ですが、右にあるものは右にあるまま、左にあるものは左にあるままなのに、どうして左右逆に見えるのか、貴方説明できるでしょうか。できないはずです。何故なら、それが分かっていれば表題の問いの答えも分かるのです。実はこの問題、「なぜ上下が入れ替わらないか」ではなく「なぜ左右が入れ替わるのか」を考える方がずっと自然で分かりやすいのです。原理理解しているわけでもないのに「左右が入れ替わるのは当然」と思考停止してしまっていることが問題を難しくしてしまっているんですね。

(2)

さて、ということで左右が入れ替わって見える理由を考えていきましょう。ここからは図を使って説明します。

まず貴方の正面に看板があるところを想像してみてください。看板には横書き文字が書かれています横書きなので文字は左から右に書かれています

      ―[看板文字]→

    

    左    ▲    右

次に鏡を登場させましょう。後ろを振り返ってみてください。そこには大きな鏡があって貴方とその後ろの看板が映っています

     ←[看板文字(鏡像)]―

         ▽

  鏡 ―――――――――――――

    左    ▲    右

     ←[看板文字(実体)]―

鏡の中の看板を見ると、横書き文字右から左に書かれています。やはり鏡の中では左右逆になるということでしょうか。

しかし、この図をよく見てみてください。注目すべきは、鏡像ではなく実体看板文字の向きです。気づいたでしょうか。実はこの時、実体文字の向きも右から左になっているんです。

もう分かりましたね。文字が左右逆になったのは鏡に映したからではありません。そう、「後ろを振り返ったから」です。後ろを振り返ると左右が逆になる。言葉にしてみれば当たり前です。

(3)

まりこういうことです。

私たち普段物体の正面を見る時、物体は「自分と向かい合わせ」になっています。もし物体自分と同じ方向に正面を向けていたら、背面側しか見ることができませんので、必ず体を180度回転させて物体と向かい合わせになってやる必要があります。この時に左右が入れ替わるわけです。一方、鏡に物体を映した時はその必要がありません。物体が同じ方向を向いていても、体を反転させる(=左右を入れ替える)ことなく、正面を観測することができるのです。つまり、鏡に映すと左右が入れ替わるのではありません。鏡に映した時だけ入れ替わらないのです。

(4)

ここまで来れば表題の「鏡に映しても上下が入れ替わらない理由」も分かるでしょう。答えは「後ろを振り返った時に左右は入れ替わるが上下は入れ替わらないから」です。もう少し突き詰めて言えば「人間は振り返る時に横に回転するから」です。というのも、もし人間ブリッジするように縦回転して後ろを振り返る肉体であったなら違う結果になるからです。一種思考実験として考えてみると面白いかもしれません。

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