初回を観た時、この映画は音楽が重要な意味を持つ作品だと思った。だからこそ、音響が良い映画館で観たいと思った。
それで、川崎のチネチッタに行った。LIVE ZOUND上映が目当てだった。
チケットは、事前に予約をした。オンラインの予約開始時間にあわせてすぐ席をおさえた。自分にとってのベストポジションだった。
片道1時間近くかけて出向いた。それだけの価値があると思った。
客入りは満席とは遠いが、それでもそこそこの人が入ってた。
自分の列の左右もそれなりに埋まっていたが、すぐ左隣は空席だった。
混雑していない上映で一席空けて席をとることは一般的なので、その時は特に気にしていなかった。
上映前の予告がそろそろ終わりそう、という時に、左隣に人が座った。手にはポップコーンとドリンクの乗ったトレーがあった。
その時点で、ある程度その後のことが予想できてしまった。
既に観た人ならわかると思うが、本作では登場人物の台詞が少なく、その代わり音楽が意味を持つ作品となっている。
そして音楽が意味を持つからこそ、音楽がないシーンにも意味をもたせることができる作品でもある。
それを、最高の音響で観たいと思った。最高の音響に浸りたいと思った。
すぐ近くでずっと聴こえていたのは、ポップコーンを取るカサカサという音。ポップコーンを噛むシャリシャリという音だった。
演奏シーンでも、静かなシーンでも、それは変わらなかった。
予め言っておくと、その人は気を使いながら、極力音を出さないように食べていると感じられた。
もっと酷い食べ方は、何回か遭遇したことがあるので知っている。
それでも、比較的静かなこの作品では、とても気になってしまった。
正直に言うと、その人がいたせいで時間とお金が無駄になったと感じてしまった。少なくとも、わざわざLIVE ZOUNDで観る意味はなくなってしまった。
「まわりが気になるなら、映画館ではなく家で観れば良い。」「映画館がポップコーンを売っているんだから、とやかく言うのはおかしい。」
全くもってその通りだと思う。本作で言うと、公式でポップコーンセットまで売ってるし。
それでも、音響の良さを売りにしているのならば、まわりの環境音にも配慮された選択肢が欲しい。
具体的に言うなら、ポップコーン含む、音を出す食べ物を禁止した上映が欲しい。
それが現実的でないことくらいわかっているので好き勝手言わせてもらうと、もしそんな上映があるなら+200円〜300円くらいのオプション料金は払ってもいい。
映画館側も、環境を含めた音響の良さを売りに出せるし、買ってもらえるかわからないコンセッションより、全員からオプション料金を取れる上映の方が収入も増えるのではないか。
ポップコーン音が気になる人という潜在需要もきっと多いはず。多分。きっと。おそらく。
もちろん、ポップコーン音が気にならない映画もある。大半がそうだと思う。リズと青い鳥が特殊な例。
だからこそ、少し風変わりな上映という形であっても良いのではないだろうか。
今回は少し残念な体験だったので、多分別の日にまた観にいくと思う。
参考 https://matome.naver.jp/odai/2142323703642003001 映画館はポップコーンを売って利益を得るというビジネスモデルが確立してるから。 だから飲食物の持ち込みはご遠慮くださいなのね。